外国為替市場で進行していた円安に急ブレーキ
外国為替市場で進行していた円安に急ブレーキがかかり始めた。
国際機関などから割安な通貨への風当たりが強まる一方、
米国で住宅市場に対する不安と利下げ観測が再燃。
市場では、金利差に敏感な投機筋の円売りの縮小もみられる。
ただ、欧米経済の基調の強さは依然崩れていないとの見方もあり、
円高が今後加速するかどうかは不透明。
今春以降下げ足を速めている円相場は対ドルで6月に一時、4年半ぶりの水準となる1ドル=123円台まで急落。対ユーロも、今週明けの海外市場で過去最安値の1ユーロ=169円台をつけた。
ところが、ここにきて急反発の兆しをみせ、24日の対ドル相場も続伸した。午後5時現在で前日比39銭円高ドル安の1ドル=120円53〜55銭で取引されている。
円安基調が崩れた要因に指摘されるのが、「円や人民元など割安通貨に対する圧力の高まり」(大和総研の亀岡裕次シニアエコノミスト)だ。主要国に対する物価変動も考慮した円の実質実効為替レートは6月は93・4で、1985年のプラザ合意時を下回った。
国際決済銀行(BIS)は6月公表した年次報告書で、「このところの円安は異常」と指摘。国際通貨基金(IMF)が同月打ち出した為替政策の監視強化も、中国(人民元)を念頭においたものだが、「日本の貿易黒字も拡大しており、円が標的になる可能性もある」(亀岡氏)。
■米は利下げ観測
さらに、足元の為替を揺さぶるのが、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)の焦げ付き問題による、米住宅市場の減速懸念の再燃だ。米連邦準備制度理事会(FRB)の推計によると、同ローンの損失は最大1000億ドル(12兆円超)に上る。
住宅市場の失速は、米の個人消費を冷やすリスクをあらためて意識させた。ドルの上値の重さにつながる図式で、野村証券の木内登英チーフエコノミストも「金融面への影響も残り、リスクの見極めに時間がかかる」と懸念。FRBはしばらくは政策金利を据え置いているが、「年内にも利下げの可能性がある」(メガバンク幹部)との観測すらくすぶり始めた。
これまで市場では、「内外金利差は当面縮小しない」との見方から、円キャリー取引(低金利で調達した円資産を高金利通貨で運用する投資)が盛んで、円安を演出してきた。だが、利下げ観測が再燃した米国とは逆に、日本では8月にも日銀が利上げする公算が大きい。このため、「金利差に敏感なヘッジファンドが円キャリーを縮小している」(信託銀行幹部)との声が上がる。
■参院選も影響?
ただ、このまま円高が加速するかどうかは流動的だ。米国経済については、FRBも住宅ローン問題の影響は今のところ限定的との見方で、ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次シニアエコノミストも「軟着陸シナリオは揺らいでいない」とみる。欧州経済も好調を持続し、9月にもう一段の利上げが確実視されている。
29日投票の参院選についても、市場は「与党の苦戦はある程度織り込み済み」(岩下真理・大和証券SMBC金融市場調査部次長)だが、政局の流動化などが円売り材料となる可能性もある。
今秋の先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)や翌年の米大統領選を視野に、円安ドル高是正の動きが広がるとの観測もあるが、現時点では不透明感が強い。
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